2016年6月18日土曜日

さらば颯爽堂


6月某日、食事をするため西荻窪「洋食のみかさ」へ。


この店は西荻を代表する老舗のひとつで、夏目漱石、芥川龍之介、萩原朔太郎、森茉莉、中岡俊哉、江戸家猫八、伊藤文學……などの著名人が足しげく通ったことでも知られる。というのはいま思いついた真っ赤なウソであるが、いかにも懐かしげな趣きのある洋食店で、ステーキや揚げ物が実に美味しく、とりわけ蟹クリームコロッケは絶品なのだ。
味にうるさくない私がなぜそんなことを知っているかといえば、西荻窪に住んでいた当時、家人がこちらで働かせてもらっていたからである。


で。
久しぶりに西荻に行ったらば、なんとまあ、颯爽堂が閉店しているではないか!
颯爽堂というのは、JR西荻窪駅北口にあった新刊書店。


人文系や美術書に力を入れた品ぞろえで、狭いながらもきらりと個性を光らせている、西荻文化圏を象徴するようなお店だった。駅に向かう途中にあったこともあって、よくふらりと立ち寄ったが、「入れば必ずなにか欲しい本がある」 という素敵な棚作りだった。書店のよさはフロア面積ではない、と教えてくれたのは颯爽堂だったように思う。





貸テナントになってしまったお店の前に立ち、しばし呆然。
帰宅後インテルネットで調べてみたところ、ご店主の体調不良により昨年末に閉店していたことが分かった。体調不良ならば仕方がないことで、いちばん悔しいのは店主ご本人であろうが、いちファンとして非常に残念だ。


いい本屋さんだったのにねえ……。



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