2014年9月7日日曜日

『ダ・ヴィンチ』10月号発売



今日も今日とて、お仕事の紹介。
『ダ・ヴィンチ』10月号(KADOKAWA メディアファクトリー)が発売となりました。
今月はインタビュー記事を4本担当。







順番にいきましょう。
まずは恒川光太郎さんに新作『スタープレイヤー』について取材。
これまで現実と非現実の接する瞬間を好んでテーマとしてきた著者が、初めて挑んだ本格的異世界ファンタジーだ。


設定が実にユニーク。
見知らぬ世界に飛ばされた主人公・夕月(ある事件がもとで引きこもりがちになっている30代女性)は、10の願いがなんでも叶えられる「スタープレイヤー」に選ばれたことを知る。
次々と願いを叶えてゆく夕月。しかし、その世界には彼女以外にも、スターの力を与えられた人間が何人も存在していて……。


民話などでは「3つの願い」のパターンがお馴染みだが、そこを10に増やしたのがミソ。10もあれば、小さいことから大きいことまで含めて、大抵の望みが叶ってしまう。極端なことをいえば、もといた世界から1万人を呼び寄せて、広大な王国を作ることも可能なのだ。
そこで、夕月は何を願うのか。


これまでの恒川作品のイメージをがらっと変える、壮大で、力強くて、線の太いファンタジーだと思います。シリーズ化されるというので、今後の展開が非常に楽しみ。
 






それから。
新作サスペンス『寄居虫女』を発表した、櫛木理宇さんにインタビュー。


櫛木さんといえば、世間一般では『ホーンテッド・キャンパス』の方なわけですが、私は小説すばる新人賞を受賞した『赤と白』の頃からずーっと、彼女の書く犯罪小説のファンなのですね。


これまでの犯罪小説(『赤と白』『避雷針の夏』)がどちらかといえば、加害者側の視点で書かれていたものだとすれば、今回は被害者サイドに寄って書かれているのが特徴。
だから、怖いのです。


テーマになっているのは、昨今世間をさわがしている一家乗っ取り事件。北九州や尼崎で起こったあれです。カバーに描かれているようなフランス人形のような年齢不詳の女が戸口に現れ、いつしか家庭の中に入りこみ、家族を服従させてゆく。うわあ。
(ホラーファンならウォルポール『銀の仮面』を思い出して、震えてください)


とはいえ、インタビューによれば「主人公も等身大の女の子だし、恋愛要素も入っていますから、『ホーンテッド・キャンパス』の路線とも近いと思うんです」とのこと。ラブコメ好き、青春小説好きも是非。いや、櫛木さんの作品はすべて、すぐれた青春小説だと思うんですよね。暗い人間には、思い当たるふしがありすぎる。







そいから。
宮部みゆきさんの最新時代長編『荒神』についてもインタビューさせていただきました。
『朝日新聞』紙上に連載されていたので、ご存じの方も多いかと思いますが、あの国民的ベストセラー作家・宮部みゆきが初めて「怪獣もの」に挑戦した、という画期的な作品であります。


インタビューを読んでいただけると分かりますが、宮部さんの特撮ファンぶりは年季が入っています!東北の寒村を、巨大怪獣が襲撃する、という壮大なスケールのこの作品は、往年の名作『大魔神』などをイメージして書かれた、「特撮時代劇」なのだとか。


単行本化にあたって加筆修正も施されているようなので、新聞連載でお読みになっていた方もあらためてどうぞ。困難に立ち向かう人々の姿を描いた、群像劇としても味わい深い作品になっています。東北が舞台ということもあって、色んな読み方ができる作品ですよね。
『ダ・ヴィンチの』記事では、こうの史代さんのカラー挿画をたくさん使用させていただいています。とってもカラフルな記事になりました。











さらにさらに。
岩崎書店の「怪談えほん」シリーズ、第2期スタートを記念して、『かがみのなか』を刊行した恩田陸さんにインタビュー。


これは怖いじょ~。
「怪談えほん」シリーズはどれも怖いけど、『かがみのなか』は恩田さんらしく日常風景の中にある怪奇幻想性を、小学生少女の目線でとらえていて、思わず背筋が冷たくなります。


「こちらから見えているだけじゃなく、向こうにも見られているんだっていう怖さ。それがずっと頭に残っていて、今回の作品に繋がっています」と記事で語っておられるように、鏡の向こうにある世界に対して私たちが抱く根源的な恐怖、興味、郷愁がテーマになっております。
子供も、大人も、江戸川乱歩も必読なのだ。







それにしてもだね。
恒川光太郎、櫛木理宇、宮部みゆき、恩田陸ですってよ。
長年ホラー小説を読み続けてきた人間からしたら、これはもうものすごい面子じゃないですか。ノーベルとエジソンと野口英世と湯川秀樹が並んでるようなもんですよ。怪奇幻想ライターを名乗っていてよかった。本当に。


かくいう私は相変わらずの鬱々人生でありまして、今日もほとんど誰とも口をきいてません。外出といえば、駅前で撤去された自転車をもらい受けにいったくらいです。悔しくて3時間ほど昼寝をしたら、夢に最上もがが出てきました。ううっ。



ご用の方は是非お気軽にメールを下さいね!ううっ。








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