2014年8月31日日曜日

 『本の旅人』9月号に書評を寄稿



角川書店のPR誌『本の旅人』9月号が届いた。
丈武琉氏の新刊『キルマ1945』のレビューを執筆している。




『キルマ1945』は伝奇SF『セオイ』(ハヤカワ文庫)でデビューした著者の第2作。
レビューのタイトルに「展開予測不能!異色のSF戦争アクション」とあるように、戦争アクションものなのである。


角川書店の編集Kさんからレビューの執筆依頼を受けたときには、「戦争アクションもの?私が書いていいの?」という気持だったが、拝読して納得しました。これは私の大好きな世界ではないか!




とにかく過剰で、異色で、大胆不敵。ぎりぎりまで膨らんだ想像力によって、物語がぱちんとはじける寸前のところで踏みとどまっているような、そんな危うさを秘めた面白さだ。山田風太郎イズム、といってもいいだろう。


物語は三段ロケット構造になっていて、要所要所でこちらの予想を大きく裏切ってくれる。とりわけラスト50ページの急展開がものすごい。そうか。そう来るのか。あまりの恰好よさに、私は思わず歓喜の叫びをあげてしまった。この展開を持ってきたことによって、『キルマ1945』という作品は単なる戦争アクションを超え(いや、もともと超えているんだけども)、過剰な領域にはっきりと足を踏みいれている。私のような人間には、そこがたまらない。




著者は模型雑誌ライター、プロモデラーなどの異色の職歴をもつ人物。銃器や車両の知識は並大抵でないし、それだけに戦前の米軍VS自衛隊特殊部隊の戦闘シーンは迫力満点。ミステリー的な構成も見事に決まっていて、デビュー作『セオイ』からの大きな飛躍を感じさせる。


レビューにも書いたことだが、作者はどうやら複数のジャンルをミックスさせ、予測不可能な展開を作り出すという手法に意識的らしい。たとえば、ロバート・ロドリゲスの『フロム・ダスク・ティル・ドーン』なんかが好きな人なら、『キルマ1945』は絶対見逃してはいけない作品なのだ!




作品の詳しい内容と魅力については、『本の旅人』9月号をご覧いただきたい。ばいちゃ。



2 件のコメント:

  1. このような場所にコメントなど、失礼かと思いましたが、駆け出しの作家ゆえのはしゃぎぶり、とお許しいただければ……。本当に光栄な書評をいただき嬉しくて、嬉しくて、数字の出せない自分としては、このような言葉を頂けるのが唯一の励みになります。今後も期待を裏切らないよう書き続けたいと思いますので、どうかよろしくお願い致します。 追伸:『フロム・ダスク・ティル・ドーン』は私のツボ、む大好きな映画です(笑)

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  2. 丈武琉さま

    いえいえ、コメントありがとうございます。

    『キルマ1945』、とても素敵な作品でした。
    仕事ということを忘れ、物語の力に酔わせていただきました。今後も不埒なほど面白い作品を、どんどんお書きになってくださいね。期待しております。

    ……ロバート・ロドリゲス、やはりお好きでしたか。御作と一脈通じるところがあるような気がしていました。

    へんてこなブログですが、また遊びにきてください。

    朝宮運河

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