2025年12月31日水曜日

怪老人日乗:12月31日(水)

スイスイと泳ぐ水曜日。そして大みそかであります。大みそかというのは昔の人曰く、一年の終わりなのだそうだ。本当かなあ。しんじがたいなあ。というわけで私は未来人。側転しながら蕎麦を食う。鼻で文字を読む。すごいだろう。ええとですね、昨日はベストホラー2025の締め切りをXで報告。今年はやや投票期間をのばして2週間にした。おかげで「開催に気づかなかった」という声は見られなかったようだ。あとは集計のみ。こういうのこそAIにやってもらいたいよなあ。

今日は朝から角上魚類へ。といっても関東圏の人しか分からないと思うが、でかい魚屋さんである。駐車場が広いのと魚が新鮮なのとで人気があるのだが、大みそかはもうすごいのだ。混み方が。今日は朝9時半に家を出まして、バイクで店に接近するとどうしたことだ、無数の車がハザードを炊いて左車線に停車している。なんだろ、と思ったらそれが角上魚類の入場待ち。駐車場がいっぱいで入れないのだ。2キロくらい手前から渋滞は続いていたので、いやー、あの人たちは入店できるまで2時間くらいかかりそうだなあ、と思いつつバイクでさらりさらりと接近。こういう時、バイクでよかったと思う。お店は混んでいたけど、数十万人が集うというアメ横などに比べるとだいぶんマシ。お鍋の材料、年越し蕎麦のための天ぷらなどを買って帰宅する。大みそか、みんなたくさん買うんだねえ。うちも餅だの、おせちの材料だので、結構お金を使っており、大丈夫かいなと不安になってくる。

帰宅して夜まで本読み。今年も一年ありがとうございました。このブログは読めば読むほど頭が悪くなると言われており、魚を食べると頭が良くなるのと正反対であると言われていますが、それでも読んでくださるあなたはえらい!多分えらい!がんばろう!ですので来年もよろしくお願いいたします。さらりさらりと白骨が……風に吹かれて……シェーをしている……







2025年12月30日火曜日

怪老人日乗:12月30日(火)

ふっふっふ、これはお前の内臓だ。こちょこちょしてやる。ウフフフフフ。というわけで今日という日がやってきた。12月30日。そうもし12月が30日までしかなかったら最終日である。当たり前だ。当たり前のことを言う人は天才だ。当たり前マンだ。当たり前マンの弱点は、頭をたかれると死ぬらしい。

さて日記っぽいことを書く。ええとですね、まず28日は日曜日か。日曜日といえば何をしていたかなあ。まあ基本仕事をしていたと思います。本読みですね。あとは何かあったかなあ。出かけもしてないしなあ。通販で洋服を買ったくらいか。よく「服屋に行くための服がない」問題っていうのがありまして、実際問題そういうことはあると思うのですが、あれはZOZOTOWNができたことでだいぶ解消されたのではないでしょうか。しかし結局のところ試着などしないといいか悪いかは分からないので、お店に行く方がいんだろうけども。でも時間とかいろいろ考えると通販も捨てがたいという。何を当たり前の話を書いているのか。当たり前マンならではの所業だ。頭をたたいてやる。

で次の日。月曜日、29日。つまり昨日でありますが、ええとあれだ。家族が一日いなかったので子供と二人。昼を外に食べにいく。近所の中華料理屋、やたらに量があり、前回ひとりで着たときにあまりのお米の多さに目が白黒してきて、午後ぐったりと倒れこんでいたので、今回はお米少なめにしてもらう。それでもおかずが多くて、子供の食べきれない分まで食べたのでやはり目が白黒してくる。のらくらアイだ。帰宅して少し原稿やったりする。夜は二人で『エイリアン2』を観た。エイリアンがいやなのは至近距離で撃つとぐしゃっと液体をまき散らすことで、しかもその液体に触れると体がどろどろ溶けていくので、厄介である。

そして今日。30日である。いわゆる「土用の丑」というやつで、鰻が町中を占拠していた。平賀源内に巻き付いていた。怖ろしい光景だ。震えてしまったと思ったら、それはうなぎがわたしに電気を流しているのだった。

そんな事件を経て、午前中は大掃除。まあそこまで掃除をやる気もなかったのだが、書庫の床を水拭きする行きがかり上、書棚の整理を始めてしまい、床に積んであった本をとりあえずすべて棚に収める。並べ方もすこし変更し、一応きちっと見えるようにはした。これで晴れ晴れと新年を迎えられるのである。しかし今年出たホラー小説50冊くらいは今、時評を書くために机の上に並べられているので、それを収めるスペースのことは一切考えていない。今からどうやってあのピシッと収まっている棚に、50冊が入るのだろうか。さっそく積むのもなんであるし、これはもう壁に四次元のゾーンでも作って、そこに隠すしかないのだ。はっはっは。これはあなたの脳みそであるが、そこにエイリアンのよだれを垂らしてしまうのである。そして待つこと5分、美味しいチャーシューができあがるのだ。

今日は「ベストホラー2025」の締め切り日であり、12時まで起きていなければならない。そうそう、今日の出来事といえば疲れたので家族で近所の銭湯に行った。ここはよく刺青を入れた人がくるのであるが、今日もビシッと入っている人がいて、その絵柄は目が悪いのでさっぱり分からない。龍か、虎か、エイリアンか。多分エイリアンだ。今エイリアンが流行っているのだ。そのまま外でご飯食べて帰る。

で今このめちゃくちゃクールな日記を書いているところなのである。バズるという言葉があるけれども、この日記を書いている限りはそういう現象とは無縁で、バズるどころか沈むというか枯れるというか朽ち果てるというか、そんな案配である。皆さんの今夜の夢に、ツタンカーメンが出てきますように。アデュー。アデュー。さようなら。




2025年12月27日土曜日

怪老人日乗:12月27日(土)

皆さんはコーヒーを一日に何杯飲みますか。わたしはね、いや、80年代風に一人称を変えよう。ボクはだいたい4杯飲むんだ。ボクはね、4杯飲むんだよお。特にオチはない。今2杯飲み終えたところで、そろそろ次のを淹れに行くべきなのか、もうちょっと我慢すべきなのか迷っている午後の3時なのだ。というわけで今日も行ってみよう。

ばばーん、おっとあれは、地獄のカニではないかー。何をしているのでしょうか。おっと横歩きをしております。さすがはカニです。すごいですねえ。というわけで、昨日は年賀状を少し書いた。年賀状も高い、って話は昨日も書いたんだっけ。10枚買ったら1600円である。無精して印刷されているのを買った私も悪かったのだが、しかし10枚出したら単行本が1冊買えちゃうんですよ。ちょっと考えるよねえ。最近年賀状じまいをする人が多く、その気持ちも分かる。ちょっとした挨拶にしちゃあ高いよねえ。何から何まで値上がりで、なんというか安いのは人魂くらいである。人魂は無料で光るから、いいね!

というわけであまり日記になってないな。朝から仕事を少し。お昼を食べて午後からちょっとだけ近所に買い物。家族についていってスーパー。年末の買い出しはなんだか好きなのだ。かまぼこなどを買う。かまぼこを水槽で育てたらどうなるかなあ。大きくなれよ。あと小豆が売っていて、お汁粉をたらふく食べたい人間としては「あ!」と思ったが、もう家にあるらしい。しかし足りないのではないか。不安になってくる。お汁粉はいくらでも食べたい。餅はいいから、小豆を食べたい。スケボーで仰向けに滑りながら、食べたい。

今年やった仕事をまとめてXで報告する。といってもきちんとリストがあるわけではないから適当だ。「クロワッサン」にも取材されているはずだが、現物見つからずで掲載していないとか。「ダ・ヴィンチ」もたくさん書いたけど載せていないとか。そんなわけだけど、まあ今年もあちこちからお仕事を振っていただけて幸せなことだった。フリーランスというのは声をかけてくれる人がいないと成り立たない。浮き草稼業のようなもので、よくもまあ筆の遅い私に皆さんご依頼してくれるものである。ありがたいなあ、耳元でおっほっほと叫びたい。

ぽろりんぽろりんと琴の音が聞こえてくる。それはまるでタコの足音のようであった。というわけで仕事を続けねば。明日はねえ、あれですね。銀河星雲。



2025年12月26日金曜日

怪老人日乗:12月26日(金)

こんばんは松原タニシです。じゃないな、今作業しながら松原タニシさんのラジオを再生したら、混ざってしまった。ラジオを一旦止めます。はい、止めました。ええとですね、金曜日である。しかも自分は何も変わっていないのに、いつの間にか世間は年末ムードである。やめろ、ムードを出すな!と私などは思うのだが、ムードを出されるとこちらもうわっついた気持ちになってしまって、そぞろ神に誘われ、ふらりふらりとアメ横などに用もないのに出かけて、乾物たけーなどと呟いて帰ってきそうになるではないか。堅実に生きねばならぬ。がんばれ。ラジオなど聴いている場合ではないのだ。

ああ、そういえば前も書いたかもしれないがまたオーディブルに入った。朗読を聴きながら歩いたり掃除をしたりしている。こういう事務的な作業、といったら歩いたり掃除をしたりする行為に失礼だけれども、どうにも気持ちが盛り上がらない作業というのはあるわけで、その部分をオーディブルで埋めてやって、なんとかこなしているという日常なのだ。私は朝の支度とかがすごく遅くて、気づくと10時になっている。今日もそうで、手紙を書いたり、コーヒーを淹れたりしていたら、こんな時間になってしまったのだ。仕事せにゃ。

爆弾太平記というのはかっこいいタイトルで、しかし夢野久作の小説は、読んでみると内容が思っていたのと違う、ということがよくある。犬神博士もそうだ。どっちもおどろおどろしいゴシック風なものを連想するが、前者は爆弾漁業の話だし、後者は旅芸人一家の話である。久作というのはゴシックな趣味がないわけではなく、ドグラ・マグラなどには多少その気があるのだけど、基本的には日向的な人であって、白昼の戦慄を書くことに長けた人であって、ポーの影響を受けながらも太陽と土と樹木と、という世界に幻想を見出したのが面白いところだと思う。なんでこんなこと突然書いたのかな。

それでですね、今日は午後まで原稿書き。ううむ、いろいろ間に合っていない。ぶぶ漬けでもいただきましょう。ほっほっほ。あなたの窓を見てごらんなさい。ホラ、人の顔が張りついておりますよ。あれがぶぶ漬けというものでございます。

2025年12月25日木曜日

怪老人日乗:12月25日(木)

もっくもくの木曜日である。もうそれは森のように、髭が伸びて、すごいんだ。あいつは。

というわけで木曜日らしいことを書く。小学生の頃、木曜あたりっていやだったなー。なんか疲れて。そろそろバテてくる頃なんですよね。あの頃は一週間が長いなあ、と思っていたけど今なんてあっという間である。このあいだ週があらたまったと思っていたのだが、もう後半、明日でおしまいではないか。うーんむ、今週書いた原稿は1本。火曜日に書評をひとつ送ったのかな。あとはクリスマスの関係だとか、某月刊誌の作業だとか、好書好日の年間総括記事の準備だとか、そういうことをしていたので仕上がったものはなし。この夏の忙しい時期は、週に10個くらい締め切りがあって、ぐえーと思っていたが、まあ喉元過ぎればなんとやらである。

それでですね、昨日はまあクリスマスでしたので鶏肉とかケーキとかビーフシチューとかをいただきました。で夜は黙々と仕事をしまして、書き下ろしが終わったといってもフリーランスの生活というのはこんなものです。でサンタがくるか見張っておりますと、あ!あれは!サンタじゃない!立って歩くみみずだ!という発見をしたのであります。本当かな?嘘かな?さあ君はどっちをチョイスするか。

で深夜まで原稿やってたら眠くなり、疲れ果てて寝る。ほんとは朝まで起きているつもりだったがノーノー、無理。人間死にそうなほど追い詰められないと、なかなか徹夜ってできないものである。『まんが道』で寺田ヒロオが「僕は筆が遅いから、締め切り前に徹夜するんだ」というようなことを言っていたが、それができるのは鉄人である。わたしは鉄人どころか赤子だ。バブーと泣く、ふにゃふにゃの何かだ。

で今日。仕事の関係で朝もはよから飯田橋に行かにゃならん。電車混んでいる。通勤電車が空いているみたいなことをネットで読んで、真に受けて出かけるといつも通り混んでいるというのが東京暮らしのよくある話だが、今日もまさにそうで。ひどく混んでいた。こんなに混んでいたらお互い優しくなれないのではないかと思う。たとえばみみずに絡みつかれた時に、「たすけてくれー!」と言っても誰も助けてくれないのではないか。みみずの脅威。

そんなわけで朝から飯田橋に出る。早くに家を出たのは早くに帰りたいからで、お昼前に帰宅してばけばけ見ながら料理。子供が終業式なので、間に合うようにご飯の支度をする。私はぶきっちょなので作れる料理は限られている。子供はご飯食べてどこかへ出かけていった。友だちの家らしい。南無阿弥陀仏のハウスだろう。そこら中がんがんとお経を響かせている友だちだ。またの名を地蔵。そんなわけで一人になったので「UFO山」見てから仕事する。毎年すっかり恒例になったテレビ東京のモキュメンタリー、今年はUFO。私は心霊よりUFOの方が好きなので、今年はいつも以上に身を入れて見ている。北海道が舞台だし。UFOと山、相次ぐ怪異。好きなテイストのUFO怪談である。しかし武田崇元、比嘉光太郎をテレビ東京で見る日がくるとは思わなかった。

午後も仕事。あちこちにメール返信して、好書好日の原稿準備つづき。夜には雨が降ってくる。明日は26日。もうそろそろ今年も終わりである。ってことはあれか、休暇が近いのか。もろもろの原稿を持ち越さずに書いちゃいたいなあ。

「あなたの鼻の穴に、スノードームを入れてさしあげましょう」

2025年12月22日月曜日

怪老人日乗:12月22日(月)

朧月夜であった。まっすぐにこちらを見ている者がある。芭蕉であった。禿頭である。そこからタールのような鉛が垂れていた。隻眼であった。動いた。相対する女も動く。親鸞であった。斬った。芭蕉が跳んだ。天守の上で剣と錫杖が交わった。ふたつの首が落ちた。そのまま親鸞が土に埋まった。何かが浮き出てくる。もぐらであった。もぐらは猫のようだった――。

というわけで、今日もわけがわからない日が始まった。わけの分かる日は一日としてないのである。怖ろしい。怖いよう。最近中野に行ってないなー。西荻窪にも行ってないなー。東京在住でない方は分からないかもしれないが、中野というのはおもちゃとか古本がいっぱい売っている町であり、西荻窪というのはミステリー小説とかの古本がいっぱい売っている町である。本の町で有名な神保町には仕事もあってちょいちょい立ち寄るのだが、人間贅沢なもので、それだけでは満足できない。冬だしぶらりと出かけてきたいものである。

それにしても古本屋も減りましたよねえ。東京でこうなんだから、どーなってるの、この島は、ドレミファドレミファドレミファどーなっつである。まずブックオフが減った。地元にあったブックオフ本通店もなくなっちゃったからね。帰省するたび立ち寄って色々買っていたんだけど。残っているブックオフもカードゲームとかフィギュア、古着にシフトしている店舗が多く、まあそれだけ本が売れないということなのだろう。昔はブックオフが出版業界を脅かすなんて言われていたけど、今はブックオフですら売れないんだから、いわんや新刊をやである。あ、親鸞っぽい。親鸞であった。

ええとですねえ。昨日は仕事をすこしやった。原稿書きは終わらず。まあ下書き程度である。それでもいいのだ。いいことにしてくれ。頼むよ。こっちはね、へろへろなんだよ。何かがこう、オシログラフっていう言葉がありますけど、お城のグラフなのか、お尻のグラフなのか、どちらでもないのか。それを知りたいくらいの気持ちですね。

あ、そうそう。午後はご依頼のあったワニ絵(しばらく忘れていた)をぱぱっと描いてスキャンして送る。1点でもいいということだったが、思いついたので6枚描く。ワニ絵はいくらでも思いつくし、1枚10秒くらいで描けるから非常に効率がいい。京極夏彦さんが「君はこっちの方が才能あるよ」とたまに言うのはそういうことなのだろう。文章は毎度うーんうーんと呻吟して、シンギングロンドンしてなんとか完成させる感じだが、ワニ絵はさらさらっと余裕をもった感じで描き上げられる。おそらく京極さんにとっての『姑獲鳥の夏』とか『魍魎の匣』もそんな感じなんだろうなあと推察。だからあんなに筆が早いのだろう。クオリティの差にはものすごいものがあるが。

夜は北海道から送ってもらった鮭を焼いて食べる。子供の頃、父に連れていってもらって、鮭祭りみたいなのに行ったことがあった。川を上ってきた鮭のつかみ取りなのだが、なんだかもうボロボロになってるし、弱ってて、気の毒な鮭たちであった。つかみ取りには参加せずに帰った。

2025年12月21日日曜日

怪老人日乗:12月21日(日)

にんにん日曜日。忍者がズラーッと銭湯にね、並んでいるよ。あそこはもう閉店しているのに。忍者だから知らないんだろうね。忍者はお湯に恋い焦がれているから……。

というわけで今日も意味が分からない始まり方をしたのである。このブログにはアクセスカウンターがついていて、今見たら前回の閲覧者は20人。私が自分でチェックしていてもカウンターは回るから、いいとこ15人というところか。頻繁に日記を更新するようになったけれども、それでもアクセス数は増えない。どうなっているのだ。このブログがこれほど過疎なのだったら、ディズニーランドなんてもっと過疎化して大変ではないのか。もう人がいなくて、どくろが歩いているような案配ではないのか。おっかないことである。震えてきた。

というわけでええとですね、日記を書いたらどうなる。首が取れる。というわけで書いてみよう。おそろしい。昨日は何があった。土曜だ。土曜ということは朝はパンだ。うちは土日はパンを食べるしきたりなのだ。こういうのを因習というのか。違うのか。おそろしい。

昨日はパンを食べまして、それから請求書をあっちこっちに出したのだった。フリーランスなので請求書を出すのです。出さないとお金がもらえないこともあり、逆に出さなくてももらえることもある。先日久しぶりに事前に原稿料を教えてくれない媒体があった。いくらか教えてくださいねーとメールに書いたのだが、それでも教えてくれなかったのである。うっかりしていたのだろうか。まあ大手出版社であるし、文字数もそれなりにあったので、きちんとした額が振り込まれるものと信じているが、極端に少なかったら令和の米騒動と化して、その人の会社に押しかけようと思う。鬼神もおののく踊りを見せつける。

そうこうしてたら土曜の午後となった。午後は何をしていたか。眠かったなあ。そうそう、眠かったのだ。で野坂昭如を聴いていた。野坂昭如はシンガーとして非常に尊敬していて、作家としてはもちろんだが、歌もいいのだ。私の世代は野坂に触れるのに幸福なルートがあって、ちょうど国書刊行会から野坂のコレクションが出て、クレイジーケンバンドが野坂をステージに引っ張り出したりしていた時期であり、野坂さんもまだお元気で、そういう若い世代からのリバイバルに応じていたので、なんかまだ現役感があったのである。町田康が活躍していたのも地味に大きくて、町田康の文体によって野坂の戯作調があらためて注目されたという経緯もあったような気がする。京都に住んでいた学生時代に、野坂昭如原作映画のオールナイト上映がみなみ会館であって、それにも足を運んだ。明け方までふらふらになって『とむらい師たち』とか4本くらい見た。

そんなことを思い出したのであるが、ええと、それで午後から夕飯までは書評書き。うーんと唸りながらやる。金曜の朝も一本書評を送ったのだけど、どんだけこの仕事を続けても楽に書けることは一度もないので、毎回うーんと唸らないといけない。さらさらと書けるようになりたいものだが。で御夕飯は美味しかった。いただいた味つけの油あげをさつまいもご飯に載せて、豚肉のそぼろにとろみを浸けたものをえりんぎと茄子に載せてかけて、あとは切り干し大根であったでしょうか。そういうものを食べました。夜はジグソーパズルをして遊んだが、そのせいで脳がへろへろになって早くに寝る。

金曜日はそういうわけで昼頃まで海外ホラー短編集の書評、13時くらいにやっと送って、身繕いして外出。原宿のギャラリーにて濱口真央さんの個展へ。濱口さんとは『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』というアンソロジーに装画を提供いただいたご縁であるが、お目にかかるのは初めて。あらためてお礼をお伝えしつつ、北海道民トーク(濱口さんは札幌出身)をしてきた。利尻島の出身という方もその場におられて、なんというか北の誉~(というお酒のCMがあるのです)という感じであった。初めて拝見する原画は想像以上に素晴らしく、いつか購入したいものだなあと思ったりもした。『濱口真央画集 箱庭の蝶』(アトリエサード)を購入してサインを入れていただく。それにしても原宿なんて久しぶりに来たぞ。相変わらず若い人がたくさんだ。




そこから霞ヶ関の方に地下鉄で移動し、別に選挙に出るわけではなく、国会議事堂に這い上がるわけでもなくて、忘年会があったのだった。少し早くついたのでコーヒー屋で休憩。タリーズである。前も書いたけどスターバックスのコーヒーの淹れ方が変わってしまったので、タリーズの方が味は好み。ちなみに私はこの手のコーヒーショップではブラックしか飲まない。逆にいうとブラックのコーヒーなら何倍でも飲めるという妖怪的人間なのである。

忘年会に行き、仕事関係の方々といろんなお話をして解散したら22時半。まあ出版業界はあまり景気がいいとは言えない。危機感抱いたりもし、大手版元はいいかもしれないけど、中小版元やフリーランスは大丈夫なのかと思ったりもするが、それでも本を作ったり書いたりしている人がまだ結構いるというのは、なんというか安心するものがあった。お酒は飲めないのでウーロン茶とジンジャーエール。お料理は煮物、うどんなどが出た。えっちらおっちら池袋に移動して、まあ丸ノ内線で一本だったのでそこまで大変ではなかったけど、移動しまして、帰宅したら0時近く。お風呂入って寝る。

木曜日は何をしていたかなあ。覚えてないけど家で原稿書きをしていたような、していないような。そんなわけでもう年末である。バラバラの人体が空から降ってくるような日よりである。ひゅーひゅー。

2025年12月18日木曜日

怪老人日乗:12月18日(木)

君は「悪魔の毒々おばあちゃん」を知っているか!?というわけで今日も始まりました、怪老人日乗であります。このようなですね、いいお日柄のですね、田園風景の中にありまして、にょっきりとタワーが建っているというのは、大変にめでたいことでして、えー、そのようなわけでこれからこの人形の胴体をのこぎりで切りたいと思います。ありがとうございました(拍手)。

というわけで今日も忙しい。いや、おれは忙しくないのだ。なんというか仕事がのろいだけなのである。だからなんとなく忙しい系に見えているが、早い人なら1分で終わるくらいの仕事なのだ。わたしの子供を見ていると朝の支度などが非常に遅くて、あっちをやっては休憩し、こっちをやってはテレビを見てで全然進まない、さすがに見ていると気分が焦ってくるのであるが、あれの大人バージョンが私である。仕事しよっと思っても、あ、あれもあるんだった、こっちの書類も戻さないと、ええとブログも書きたいんだった、メールも返そう、みたいな感じであれやこれややってるうちに昼になり、お昼食べないと具合が悪くないのでお湯をわかしてスパゲッティなどを食べ、そのまま食後のコーシーを淹れまして、どどんのどんと踊ったりしていると午後3時、そうなるともう気分が沈んできて、「夕方かあ」という気分なってくるのですね。

うーん、そういうわけで今日もあれこれやらなねばならんのであるが、さて困りましたなあ。どうしようかねえ。神がかっておるよ、あんたの娘さんは。いまも宙に浮いておるよ。ひょっひょっひょ。

ええとですね、近況を書きます。今週は何をしていたか。#ベストホラー2025の開催をしていた。X上でこの4年続けているホラーのランキング企画だ。ミステリやSFにはランキング企画があるのにホラーにはないのがずっと不満で、誰もやらないなら自分で作ろうと思ってやったのである。幸いにも年々規模が大きくなって、投票数も増えている。毎年大変なのはリスト作りと集計で、今年もリスト作りに結構な時間がかかった。おかげで他の仕事が遅れてしまったのだけれども、これはまあ、すみません!というしかないのです。

昨日は某月刊誌の校了日。いろいろと仕事がずれこんだせいでギリギリになる。まあ今月も無事に校了して、池袋に出る。作家の伊藤なむあひ氏とお夕飯。なむあひ氏は北海道出身ということもあり、X上ではよくやり取りがあって、また奇妙で不気味な幻想小説の書き手ということもあって(『天使についての試論』は優れた短編集だ)お話ししてみたかったのであるが、先日本を送っていただいたお礼をしたら一度会いましょうということになって、北海道民らしくびっくりドンキーでご飯をしてきたわけ。

帰宅して仕事を続ける。書評を書いたりメールを返したりなんだり。今年もあと少し。1月になったら休暇をとるなんていってるけど、ほんとにできるんでしょうかねー。バブーバブーと赤子のように泣くしかない。赤坂プリンスで、赤子が、たくさん泣いている……。

2025年12月15日月曜日

怪老人日乗:12月15日(月)

「増刷したのね」と実家の母から連絡があった。「どこで知ったの?」と尋ねるとインスタだという。うーんむ、昭和20年代生まれの世代がインスタをやる時代か。近未来シティだなーと感慨深く思ったのであった。まあもともとインスタは告知メインで、あまり個人的なことは書いていないけど、それでも母のみならず「お花の友だち」など謎のマダムたちが数名私をフォローしているらしい。めったなことは書けないですねえ。

もともとXも告知専用だったのだが、そのうちどんどん素の阿呆な部分が出てきて、今はわけの分からないアカウントになっている。このブログにしてもそうで、最初は結構ちゃんと「いわゆるブログ」をやろうとしていた節がある、つまり読者にとって有益であったり、なるほどという発見があったり、ためになったり、そういうスマートな運用を心がけていたのであるが、次第にどうでもよくなり、怪老人シリーズが始まって以来、もうめちゃらくちゃらなブログになり果てた。そう、日記を書くときわざわざ「怪老人日乗」とタイトルを付けているのは、その頃の名残なんですね。昔は本のレビューその他がメインコンテンツで、日記はあくまでサブという扱いだったのだ。

そんな歴史を思い出したところで歩いていたら落とし穴に落ちた。大変なことだ。膝から下がどうもぬるぬるする。何か大きなみみずのようなものが絡みついているらしい。大変なことだ。そのまま歩き出してみたらうまい具合に歩けたので、穴と一緒に移動したら、わたしの一生は穴とともにあることになって、就職結婚出産などがすべて黒いみみずの詰まった穴とともにあったので、最後の瞬間にその穴がつるっと外れたと思ったら、とっくに私の脚は腐り果てており、脚があると思っていたところに生えていたのは大根であった。南無阿弥陀仏。

ええとですね、こういう日記をどういう風に書いているのか気になる人もいると思うが、大抵は何も考えずにキーを叩くとこうなりますね。だから手癖のようなものである。文章書きをするにあたって手癖というのはあまり誉められたことではなく、呻吟苦吟、あっと驚くほど毛が抜けるくらいがんばらないといけない風であるが、このブログに関しては完全につるりつるりと風のように書いております。

さて日記っぽいことを書くのであるが、昨日は本を読んでいた。リーディングトラッカーを作ったというのは昨日書いたけれども、割と集中できた気がする。それで1冊半本を読んだ。やっぱりねえ、本がたくさんあって、あれも読みたいこれも読みたいになるじゃないですか、そうすると20ページくらい読んだところで意識が一旦離れたりするんだけど、まあこれは職業病みたいなものかもしれない、それがリーディングトラッカーを使うととりあえず目の前の本に意識が集中されるので、いい感じに気分散漫にならずに読める気がするのだ。あくまで気がするだけかもしれないが。

さて書評を2つ書いてインタビュー記事を書いて復刊のための推薦コメントを書いてアンソロジーの目次を3冊分作って某月刊誌を校了してベストホラー2025開始の告知を打つ(できたら動画も作る)、というのが今週の予定で、来週は年末時評を1本書いてムックのための評論を1本書いて、それで仕事納めである。まあこんなもんでしょう。1月になったら仕事がぐっと減るはずなので、のんびり映画を観たり『のらくろ』を読んだりして過ごしたい。のらくろはねえ、犬っぽいよねえ。

2025年12月14日日曜日

怪老人日乗:12月14日(日)

階段の下におっかない男がいて、こちらを狙っている。怖いなあ。これが階段話か……というわけで、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。いやー、頭の骨をですね、ぽりぽりスナック菓子のように食べていたらあっという間に年の瀬ですよ。ヤバい人、ヤバいヤバいとタコ踊り。と昔の人はよく言ったものですね。

ええとですね、何があったかな。この数日の間に。まあまずはあれであろう。夏以来かかりきりであった『日本ホラー小説史』の再校ゲラが届き、それに赤字を入れて戻す。期日までの郵送が間に合わなかったので金曜日、神保町の平凡社に持参したが、その場で疑問点にお答えすることができたんで結果的にはよい方法だった。朝の2時半に起きてゲラを最後まで見た甲斐があったというものだ。あとは念校が出るけど、よほどのことがなければこちらからの修正はないので、あとは担当さんにお任せして私の作業は一区切り。あとはサイン本作りとかプロモーション関係があるけども、本が出るまで自分にできることはない。単著を書いているとこれまで以上に、本を出すというのは一人ではできない仕事だなと思う。校正さんの指摘によって判明したミスもいくつもあるし、間違いなく複数人による共同作業である。ありがたいことだ。

でさすがに晴れ晴れとした気持ちで神保町をぶらぶら。アットワンダーを覗くが今日は特に買いたいものなし。というかホラー史が一段落したので焦って資料を買い集めなくてもよくなったのだった。ほっ。「宝石」や「SFマガジン」を見ても心が平穏である。

カレーでも食べたかったけどお昼時でエチオピアが階段下まで並んでいたので、その近場にある山形ラーメンのお店へ。ほんのり甘みを感じるやさしいお味の醤油ラーメンで、なんだかほっとする美味しさであった。山形の地酒なども多く、どうも山形県人が集うお店のようである。本は一冊も買わず、そのまま飯田橋に移動。午後は編集作業をやり、夕方に帰宅する。さすがに睡眠不足でふらりふらり。お夕飯は鍋焼きうどん。麺類祭りだな。

土曜日はベストホラー2025の作業。リスト作成。これまでざっとピックアップしてあったものを刊行順に並べる。めっちゃ大変で8時間くらいかかった。これまでのピックアップでも5時間くらいかかっている。まあ楽しいからいいのですが。自分でも「そうかあ、こんな作品も出ていたのかあ」という発見があって面白い。今年はホラー小説がたくさん出たが(国内編だけで140冊ほどピックアップ)一年を代表するようなベストセラーがなかった気もするので、ランキング結果がどうなるか。予想がつかないだけに楽しみである。15日の夜投票スタートを予定。

夜はアマプラでピングーを見る。というかその前に見たホラー映画があんまり面白くなかったので、気分転換にピングーを見たらこっちがとても面白くて、気分爽快になった。ピングーが幼くて、無軌道で、めちゃらくちゃらでとてもいい。




で今日は書評の作業があって本読みを。このところ本を読んでいてもあんまり集中できず、なんかうまい対策はないものかなと思っていたけど、リーディングトラッカーという対策商品があることを知る。読める行を限定するしおりみたいなものだ。で自作もできるとネットで知って、さっそくまねっこして作ってみた。お、なんか確かに集中できるかも。視界が限定されるので、そこに自然と意識が集中される感じ。しおりをいちいち指で移動させないといけないこともあって、あまりぼんやりしていられないのが逆にいいのかもしれない。




今度商品版も試してみたいが、まあ今のところこのムカデ人間のマステを貼ったやつで十分な気もしますね。というわけでまた次回。次回までにあなたの家はなめくじに占領されていると思います。